死ぬまでにせめてあと1000冊は読みたい

読書記録です。アラ還の2020年5月からカウントを始めました。果たして1000冊までたどり着けるのか

6冊目は丸谷才一『たった一人の反乱』


4冊目に読んだ『査問』。この本で査問が行われたのは1972年でした。

 

この本も夫の要らない本の箱から出した本でしたが、更にもう一冊出した本が、

たった一人の反乱 (講談社文芸文庫)

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丸谷才一『たった一人の反乱』

この本は1972年に書かれた本で、『査問』と時代が たまたま一緒でした。

618ページもあり、文字もぎっしり埋まっていて読み応えのある本です。

丸谷才一さんは2012年に亡くなっています。私の記憶では「書評の人」。小説を読むのは初めてです。この小説は第8回谷崎潤一郎賞を受賞しています。どういう本がこの賞に該当するのか知りませんが、過去の受賞者を見るとそうそうたるメンバーです。

 

私はあまり昔の小説を読んでいないので、谷崎潤一郎の小説でさえ読んだかどうか怪しいのですが、受賞作の中で確実に読んでいるのは、

センセイの鞄 (文春文庫)(川上弘美)

だけでしたね。もしかしたら加賀乙彦さんも大昔に読んでいるかもしれませんが。

 

さて、この1972年に書かれた『たった一人の反乱』は、サラリーマンが主人公で、変わったところとしては、妻の祖母が殺人犯で何となく同居することになり、そこから登場人物たちの人生が少しずつ転がっていくのですけど、そこは文学らしく回りくどい話も多かったです。

 

殺人犯が身近にいるという経験はなかなか無いことだと思いますが、読んでいるとたまたま思ってもいなかったのに刺してしまった人というのは、元々危ない人ではなく普通の人なんだろうなあと思うようになりました。

 

それから、38年前のこの小説で驚いたのは普通のサラリーマンの家に女中がいたことです。この頃が女中という職業の人がいた最後の頃かもしれません。普通のサラリーマンが雇うのですから大した給金でもなかったでしょうし。(小説の中でも女中という言葉がやんわりと否定されています)

 

また、知らない言葉が2つ出てきました。一つは「直す」。これは妾を正妻にすることだそうです。これについては小説の中でも解説されていました。大体、妾なんていう言葉もいつの時代で死語になったのやらですけど。

 

もう一つが「鹿爪らしい」これは何回も出てきました。最初、「しかめっ面」のことかと思いましたが、少し意味合いが違うようです。およそ使わない言葉ですね。

 

時代を表すシーンとしては、大学紛争に関することが少しと、多分1968年の新宿騒乱と思われるような混乱の場面もあります。

 

また、2010年9月以降につけている私の読書記録によると、1972年に書かれた(もしくは出版された)本は2冊目でした。もう一冊は寺山修司

家出のすすめ (角川文庫)

 

さすがに1972年は遠い昔な気がします。