死ぬまでにせめてあと1000冊は読みたい

読書記録です。アラ還の2020年5月からカウントを始めました。果たして1000冊までたどり着けるのか

21冊目は、問題作『伯爵夫人』蓮實重彦

最初に出た時から話題になっていた『伯爵夫人』(新潮文庫)。

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解説を含め、222ページですけど、中身は濃厚

帯にある通り、第29回三島由紀夫賞を受賞し、ずっと気にはなっていたのですけど、ためらっていたところ、年上の友人に「すごいわよー」と勧められ読んでみることに。

 

蓮實重彦さんと言えば、元東大総長で、文芸評論家で、映画評論家。その中身までは知りませんが、その方が80歳で書いた過激な下ネタ満載の小説がこれです。

 

舞台は1941年12月。主人公は旧制高校の学生。時代と年齢からすると、蓮實先生がそのまま重なるわけではないようです。本は薄いのですが、ページを文字が埋め尽くしています。会話を「」に入れずに、地の文にそのまま書いてあるので、息もつけずに会話が続いていく感じです。

 

私は三島由紀夫の小説も3冊ほどしか読んだことがないので、わからないのですが、この小説の下地になるものが実はあるのかもしれません。

 

しかし、80歳でこんなにエロい話が書けるのでしょうか。ずっと心に秘めていたものなのか、過去の自分を思い出したものなのか。ちょっと辟易するほどです。

 

さて、80年も前を舞台にしているので、知らない言葉や人物も出てきました。

代赭色(たいしゃいろ)ー赤土色のようです。

ルイーズ・ブルックスアメリカの女優で「元祖ボブ・カット」と言われているようです。 

・膺懲(ようちょう)ーうちこらすこと。征伐して懲らしめること(goo国語辞書)

・佩剣(はいけん)ー帯剣。刀剣を腰につけること(コトバンク

 

読み終わって頭に残るのは「ぱふりぱふり」という擬音語です。これから回転扉を見ると、頭に流れそうです。

 

因みに三島由紀夫賞の過去の受賞作は

www.shinchosha.co.jp

にあります。何と他には一冊も読んだことがありませんでした。今年の候補作には芥川賞を受賞した『首里の馬』(高山羽根子)が入っていますね。丁度、今、読んでいるところです。