18冊目は『孤独な鳥はやさしくうたう』田中真知
先月読んだ、『たまたまザイール、またコンゴ』があまりに面白かった(その記事はこちら)ので、同じ著者による旅のエッセイ集である『孤独な鳥はやさしくうたう』
を読んでみました。ザイールでの川下りは奥さんとしていて、その奥さんとの出会いがこの本に書かれているということなので、非常に興味が湧いたからです。
休刊になってしまった『旅行人』という雑誌に掲載したものプラス書き下ろしのもので構成されています。一番古いのは1996年に書かれていて、書き下ろしのものは2008年なので、かなり時間の幅があります。
書かれた順に掲載されていないので、最後に出ている初出一覧を見て、その順に読んだ方が良かったかな、と思ってしまいました。私はきっちり時間の流れを感じる方が好きなのです。まあ、書いた時と実際の時が違うかもしれませんが。
ヨーロッパやアフリカ、バリ島などの旅先で起きた色々なことは不思議な感じのするものも多く、でもそれをこうして文章としてすくい上げられるのは、著者の才能でしょう。
妻になる人に出会い、彼女を追いかける話は、私も似たようなことをしたことがあるので(私は見つけられた後はうまくいかなかったのですけど)、わかるーという気持ちで読んでいました。
心に残ったのはアル中だった父親のことを書いた「父はポルトガルへ行った」です。縁が切れてもおかしくない親であっても、結局切れないものなんですよね。
どの話も旅をしているからこその面白い話でしたが、今は旅をしていないのでしょうか。気になります。